目黒川の桜とワイン
2年前
用事のあと
満開の目黒川の桜をみて
お散歩したときのこと
それは
切ない思い出
桜の儚さと重なって余計にかな。
= = = = =
既婚者である同僚が今週休みをとった。
その前日、私にこっそりと耳打ちした。
PCもホテルに持っていく、
彼女と1日デートだけど
仕事は対応できるようにするから、と。
もし私がそんなことされたらガッカリだなぁ
と思ってしまった。
それは俺は仕事が忙しいけど
デートの時間を作ってるんだよアピール?
ただでさえ雑音に敏感になりがちな
その関係、
ちゃんと彼女を満足させてあげるべきだわ。
それに
月に一度の有給と、週に一度の
仕事のあとのデートだけなんて
もし私と彼がそうだったらつらい。
そんな程度で収まらなかった
私たちだったと
同僚の話を聞いてつくづく思う。
たまにしか会えないから良いんだ
なんてその関係を肯定することはできなくて。
私のプロジェクトが
彼の会社の近くだった頃
彼は毎晩帰り道を送ってくれた。
仕事のある日はランチかお茶をすることも多く
平日のどこかの夜と週末はデートしていた。
きっと無理して時間を作ってくれていた日も
あっただろう。
「こんなにずっと会いたいなんて、
自分でもびっくりしてる」
と彼はよくいった。
「ふふふ。」
いつもそうしか私は答えないのだけど
私も不思議なくらい
彼に会っていたかった。
なんでも彼に聞いてもらいたかった。
冒頭のあのお花見も
そんな週末デートのひとつだった。
満開の桜の脇を
彼と肩を並べて笑いあいながら。
とても楽しく幸せだったのに。
帰り道、
2人が別の線に乗るまでの
数駅の間。
中目黒から乗りあわせた乗客に
ぎゅううと押されながら
だんだん2人の言葉が
ぽつり
ぽつり
…
と
途切れ途切れになって。
別々の家に帰ることが
とてもせつなく
やるせなく
2人で家に帰るのが一番
心地よいはずなのに…
って。
無理なのは当然なのに
割り切れない思いを抱えてた。
あの日は何故だかいつも以上に
強く。
切なく。
彼もあのとき同じように
強く思った、と。
切なくて悲しいお花見だった。
今でも苦しく思い出す。
だけどあれも私たちが
歩を進めたきっかけの
ひとつだったのだろう。
この週末、見に行けるかな。
そしてそのまま、満たされた気持ちで
一緒に家に帰って一緒に料理を作って
ワインを飲みたい。