センチメンタル
私がおいしいたこ焼きが食べたい!といって。
評判のたこ焼きを食べに郊外までドライブしたあの日。
私は新しいミニ丈のワンピースを着てた。
薄曇りだったその日は風が少し冷たくて。
焼いてるのを待っているあいだも
あなたは路駐した愛車のことが心配で、そわそわしてたね。
しまいには車を取りに戻ってしまって。
1人でたこ焼き屋さんの列に並ぶ私。。
あの車好きだったな。
車体が低くて、乗りにくいあの車。
陽が落ちると青く浮きあがるスピードメーター。
黒いダッシュボードとスタイリッシュなコントラストをみせてて。
車内はいつもロマンチックだった。
私のお気に入りのUSのシンガーの曲。
運転中、彼が前をみつめたまま
私の手の甲にくちびるを優しくおしつけるのが
たまらなく好きでした。
洒落たデザインのあの車…
あなたらしかった。
今も街中で見かけると思い出すよ
お店のおじさんが
飛行機がみえる眺めのよい公園を教えてくれて
私たちそこを目指したんだよね。
それなのに、とってもフラットな広場に着いてしまって。眺めなんてなくて。笑
あれー?なんて笑いあったあと
まぁいっか!とふうふうして食べたんだ。
念願のたこ焼きを。
私には1つ1つが大きくて、すぐお腹いっぱいになっちゃったのだけど。
あなたも苦しそうだった、それなのに
こう〜しようがないなぁといって
頑張って引き受けてくれて。
おいしいたこ焼きがテーマだったのに
おいしさよりも苦しさが上回っちゃって。
それでも幸せな気持ちで満ち足りてた。
若い家族連れがいっぱいの公園をお散歩するのも。
ベンチで丈の短いスカートを気にしながら
たこ焼きを食べるのも。
苦しいっていう感想に2人笑いあったのも。
あなたとのドライブはいつもそんな感じ。
心がほんわり。
もう何年も前の思い出。
なんだか思い出しちゃった。
お元気ですか?
あなたはいい人みつけて結婚したのかな。